戦闘生理学
<Combat Physiology>

メカニズム

心の構成は自己の意識・無意識の中に、複数の層で出来ています。
無意識は意識の10倍もの大きさがあり、その記憶容量は無限大のようにあるとされ、人はわずかその機能を30パーセントしか使ってないことは、よく知られたことでしょう。
意識とはある一定の集中であり、例えば、本を読んでいるようなものです。
無意識は自分の経験の全てが備蓄されている、スーパー電子図書館のようなものです。
意識が集中すると、その集中に必要な知識だけが沸いてきて、ストーリーが読めるのです。
意識と無意識の間には、その経験を意識に連想し、沸き上げている観念のフィルターがあります。
乳幼児時期に、要求をすれば与えられ喜び、与えられなければ泣き、やがて欲求をつのらせ、怒り、悲しみ、を学習し、「喜び」・「怒り」・「恐怖」・「悲しみ」という、感情の4原則を作り出します。
「物事とはこうだ」という信条を、意識と無意識の間に固めていく観念となるのです。
例えば、無意識に「全ての」「不良は」「怖い」と構築されるものがあれば、意識上で、不良に出会ったときに、観念フィルターは意識に投影し、「怖い」と表に出させます。
現代精神思想ではクオリアと呼ばれるものです。
本を読むことでいえば、スーパー電子図書館に、何があるかを、観念フィルターで探し意識にイメージさせる所なのです。

クオリアを塗り変えれば、意識は変わります。
どのように育てるのか、あるいは変えるのかというのは、人間の生理学の状況を把握することから始めます。

戦闘生理学では、あらゆる状況の中において、最善の状態を「強さ」といいます。
掣圏真陰流では、強さ弱さをヒビきで表し、ヒビきはマイナスとゼロとプラスに、方向付けされます。
例えばマイナスでは、目前の大きなプレッシャー、「強そうな敵」「仕事などが息詰まった時」「舞台に上がる緊張」「勉強」「失恋」色々な圏に対し、ヒビく状況です。
掣圏真陰流では「気」とでも呼びますか。
実際はヒビきによって作用される、自律神経の状況でなのです。



ヒビきの身体的メカニズム

自律神経とは自分ではコントロールできない神経です。

自律神経は二種類の形しかなく、バランスによって体調を整えています。
「やばい」「まずい」等や、心の重圧や変調は、「交感神経」が優位になりバランスを崩すのです。
この場合、「交感神経」を下げるのではなく、もう一方の「副交感神経」を上げることにより、バランスが整えられ、心は安定します。

脳 波

人間は約1400億もの脳神経細胞(ニューロン)を持ち、現在解かっているだけでも157種類の脳内物質が作用して、イオン電子化され、約40オームの電気でつながっていき、概念を作っています。
その状況は脳波という波形で、ある程度は解明されています。
普段の生活時はベータ波といい、14〜30ヘルツ
意識上でリラックスした時は、アルファ波、8〜13ヘルツ
ある程度の眠りにおいては、シータ波、4〜7ヘルツ
深い眠りではデルタ波、0.5〜3.5ヘルツ
とされています。
また、パニックなどは、ベータ波の上のガンマ波(30ヘルツ以上)
になります。
心的概念を変えれば脳波は変わり、自律神経も安定することになるのです。

心的概念を変えるには、今自分がどういう情動波形にあるかを把握しなくてはなりません。

掣圏真陰流情動波形

掣圏真陰流では、圏に対応するための情動を波形で表し、コントロールします。
常波」を基準にしますが、これは普通に生活していて、感情だけで情動は表れていない、自律神経も安定している状態です。
人が圏で圧力を受け、「まずい」とか「やばい」とか「強そう」とか思うと、情動は「退波」へ向かい、「交感神経」が優位になります。
一端、退波に向かった情動は、普通では常波の方へほとんど向きません。
退波はそのまま背負っていると、「窮波」へ向かい、完全な負けパターンとなります。
最悪は「パニック」になり、どうしようもなくなるか固まってしまうのです。
勿論最初からそうなる者もいます。
圧力は一端「無派フィルター」を通すと、何事も無かったのように「常波」になります。
無派とは感情も、情動も無い、無の生理的状態、アルファ波といえます。
自己催眠化し、瞬時でフィルターに通すのです。
乗派」とは活力の源であり、自己催眠化され完全な掣圏をした観念は、「超乗波」へ向かいます。
戦闘の場合、瞬時にして「戦闘トランス」へ入ることもできます。

ちなみにサムライは、退波を背負うだけで恥という思想です。